探偵の尾行調査
探偵が行っている調査の中で大半を占めるのが対象者を尾行して行動をチェックする尾行調査があります。
尾行調査は浮気の証拠を押さえる浮気調査、社員の不正行為を暴いたり、子供や所属タレントの非行の実態やいじめの実態を見極める素行調査、行動調査などで活用される調査方法です。
調査方法は対象者の後を尾行していくという探偵の足がものを言うアナログ的な方法ですが法的な証拠が押さえられる唯一の手段です。
なにしろ何年何月何日の何時何分にはこういう行動をしていたと記録や映像、写真として残るのですからこれほど確実な物証はありません。
尾行調査には大別して徒歩尾行と車両尾行があります。
探偵のテクニックと共にそれぞれの尾行調査について簡単ですがご説明致しましょう。
徒歩尾行
依頼人からの指示があった調査開始指定場所から張り込みを始めます。
自宅であったり、勤務先などが主な開始指定場所となりますが時には対象者が赴いている施設などから開始というケースもあります。
いずれにしても対象者の顔をきちんと認識していなければ何も始まりません。
最近の写真を数枚用意して探偵に渡しておくことは重要です。
しかも顔写真も正面や横顔、全身などが判る写真を数枚用意しておいた方が賢明です。
対象者が指定場所より出てきたのを確認し尾行の開始です。
まず探偵は1人では決して尾行しません。
後々状況を加味して説明しますが最低でも2人以上でチームを組んで尾行していきます。
対象者が徒歩の場合、それぞれの探偵の距離間で尾行をしていきますが1人の探偵は対象者の真後ろに付き、別の探偵は対象者とうしろを付く探偵のやく中間の斜め後ろに付きます。
もちろん道幅や交通状況などによっても異なりますがこれが基本的な尾行体制となります。
歩いている対象者が道を曲がりました。
探偵も早歩きか小走りで距離を詰め、曲がり角で対象者を確認します。
その間、何秒で探偵は道角まで掛かったかを計っておきます。
曲がり角で確認すると対象者の姿が見えません。
どういった事が考えられるかと道を曲がってから近くの店舗施設や居宅、ビルに入った場合もありますし別の路地を曲がったかもしれません。
そこで計ったタイムが重要となってくるのです。
例えば対象者が曲がってから5秒後に角から確認すると対象者が見えない。
すると5秒以内の施設や店舗などに入ったか、5秒以内に到達できる路地を曲がったことになるのです。
どこに入ったか判らない場合、1名の探偵は5秒以内に入れる施設や店舗の出入口を見張り、別1名が裏口などを確認に素早く動くのです。
信じられないかもしれませんがこういった施設や店舗を通り抜ける人もいるのです。
目視で店舗や施設に入った際も後ろに付く探偵は通りすがり、別1名の探偵が出入口を見張ります。
そして上記と同様に裏口などの確認に素早く動きます。
探偵が2名以上で実施する事の重要性が理解できたでしょうか。
これはチームを組んだ相棒と「あうん」の呼吸で行います。
チームを組んだことが少ないとどちらかが指示を出しますが時間をロスする事も出てきますのでやはり意思疎通が常にできている相棒は心強いと言えます。
徒歩尾行ではこれの繰り返しとなり、しかも要所要所の撮影をしていかなければなりません。
当然、どこかの施設などに入った場合も裏口などを確認し二手に分かれて張り込みます。
出入口が数多くあるような施設ですと一緒に入りますが時には入れない場所もあり、その際は応援を要請するか、可能性の高い出入口で見張ります。
移動手段を利用した際の尾行テクニック
・バス利用
対象者がバスを利用した際、基本的には一緒に乗り込み、対象者より後ろの座席に座るようにします。
混んでいた場合もなるべく後ろの位置に立ちます。
一緒に乗り込むことは行き先が把握できている場合は良いのですがバスより降車する際にバス専用のターミナルゾーンに入ってしまう場合があります。
よく主要駅などはこういった専用ゾーンがあり、車やタクシーなどが入っていけないところもあるのです。
同乗していないと降車後の行方が判らなくなるケースも出てきます。
・電車利用
電車においては空いている状況、座席が埋まっている状況、混んでいる状況によっても探偵の乗車位置は異なってきます。
ガラガラに空いている電車に乗車した際は探偵はその乗車した車両を挟むように別々の車両に乗り込みます。
座った位置を確認し決してずっと監視することはしません。
意外にも人は視線を感じるモノなのですが座席を移動することもあるのでたまに確認する程度のことは行います。
座席が埋まっている状況の場合、同じ車両の別ドアから挟み込むように乗り込み、対象者が座ったら同じ側の扉のそばに立ち、頭が確認できる程度で確認していきます。
立っている場合は頭や背中、足を名ぢの身体の一部が見える位置で見張りますがやはり移動する事もあるので警戒はおこたりません。
混んだ状況ですと一緒のドアから乗り込み、時には本人を押し込み乗車する事もあります。
尚、鉄道路線はいずれの場合も常日頃から路線状況を確認しておくことが必要です。
各駅のドアの開く側やどの駅で乗客の乗り降りが多いか、駅の階段や改札の位置なども把握しておく必要があるのです。
通勤などでは勤務先最寄り駅では最初から出入口に近いドアに乗り込む人が多いのです。
対象者が指定座席の特急電車などに乗車する場合です。
既に予約し切符を持っている場合もあります。
依頼人からの指示にもよりますが通常、一緒に乗り込みます。
ただ特急券などがないと乗車できないケースもありますので時間の余裕がある限り、一緒に乗り込む努力はしないとならないのです。
・飛行機利用
通常、予約した便などが判明しない限り一緒に乗り込むことはかなり困難となります。
もし対象者がチケットカウンターに行き、そこでチケットを購入し行き先や便などが確認できれば空席状況などにより同乗する事ができる事もありますが殆ど予約しており
まず空港へ行かれると尾行は断念せざるを得ません。
出来る限り飛行機への搭乗の場合には前もって之情報が欲しいのはやまやまです。
ただし、登場できる可能性も僅かですがありますのでその為には多少の金銭とクレジットカードなどは常備しておかなければなりません。
・エレベーター利用
乗り物などの移動手段とは異なりますが意外と難易度が高いのが対象者がエレベーターを利用する場合です。
エレベーターは大型商業施設やオフィスビルなどには必ずと言っても良いほどに存在します。
最近では身障者の為に駅などにも設置されていますが時として複数の路線が入るターミナル駅ですと複数階停止する場合もあり、一緒に乗り込まなければ走っても間に合わないケースも出てきます。
しかも殆ど場合、商業施設などのエレベーターに乗り込んだ際、反転してドア側に顔を向けるという動作を多くの人がします。
これは後から来る人の顔が見られると言うことです。
それでもそのリスクを犯しても一緒に乗り込まなければならないなのです。
商業施設など大人数が乗り込み場合、一緒に乗り込まなければその時点で見失う可能性が高いと言えるでしょう。
何しろ対象者が何階で降りたのかも分かりません。
全ての階を捜索したとしても相手も移動しているわけですから行き違いになる場合もあります。
まして上階から下に降りるエレベーターでは1階で降りたという可能性もなく、地下に行ったり、別な階から連絡通路があったり、まして駅と直結している施設だとそれこそどこに行ったかも判らなくなってします。
まして調査対象者が女性の場合、ファッションビルやデパートなどの商業施設を何棟も訪れ、何度もエレベーターに乗られるとさすがの探偵でも厳しい状況となってしまいます。
複数の探偵で交互に同乗する事で多少、誤魔化すことはできるのですが、探偵にとってエレベーターは鬼門とも言え、大型商業施設に入った場合にはエスカレーターを利用してくれと願っている探偵も少なくないと思います。
・自転車利用
あらかじめ自転車を利用すると判っていれば当然、探偵も自転車を最低でも2台は用意しておきます。
基本的には徒歩尾行と同じ要領、感覚で尾行をしていきます。
ただ自転車尾行の際の注意点は最寄り駅などで既に登録してある駐輪場を利用する場合です。
この際も1名の探偵が同駐輪場内に入り、本人を尾行、別1名が2台の自転車を安全な位置に確保して後から合流する方法をとります。
ここでも2名の探偵が必要と言う意味が理解できるかと思います。
さらに問題なのが対象者の行動する地形です。
坂道の多いところですと対象者が電動自転車に乗っている場合があります。
この自転車に乗られると坂道を登る際、相手はスムーズに行けますが尾行する一般自転車、得に探偵が使用する折りたたみ自転車では厳しくなります。
下調べの重要性が問われるところです。
車両尾行
対車両を尾行する場合、基本的には2台の調査車両を使用、探偵も3,4名体制でチームを組みます。
まず調査車両1台での追跡は困難ですし対象者に尾行を察知される可能性が高いのです。
徒歩尾行のように物陰に隠れたり、人混みに紛れ込むというような事は車両ではできません。
しかも対象者にはバックミラーやルームミラーもあり、運転する人ならお解りでしょうがけっこう後ろも見て運転しているのです。
交互に車両を変えて尾行をしなければ短時間で尾行を察知されてしまいます。
しかも対象者との間に何台も別の車両を入れて尾行する事などは東京などの大都会では見逃す原因にもなりかねません。
何しろ車の量が多く、しかも信号も数十メートルごとにあるのです。
また車両尾行の最重要点は対象者が車両から降りた後の行動が重要となるのです。
車両から降りた後の行動は目視して尾行していないとできることではありません。
しかし、この尾行が最も困難なのです。
確かに現在ではGPSを利用した発信器もありますが駐車場施設や路上に駐車してある車両を跡から見つけても対象者がどこに行ったか判らないでは調査になりません。
またGPS発信器を会社からの依頼で営業車両や家族の素行調査で家族が依頼であれば問題はありませんが第三者の車両に取り付けた場合、違法行為になります。
最近、警察の捜査でも裁判所の許可なくしてGPS発信器による捜査は違法と最高裁で認定されています。
ですから調査対象者が第三者(恋人も含め)であった場合にはGPS発信器は装着できませんので目視による尾行となります。
車両尾行においては運転技術以外にも尾行技術も必要とされ、都会での車両尾行はかなり難易度が高い調査となっています。
なにしろ交通量の多さ、信号機の多さなど尾行の弊害となる要素が地方と比べかなり高くなっています。
オートバイを併用する事も考えられますが意外にもオートバイは目立つことを忘れてはなりません。
何しろ追い抜いていかないオートバイはけっこう目立つ存在となります。
特にライトを昼間でも常灯しておかなければ違反となります。
この調査においては多少のリスクもご理解の上、依頼されることです。
まだまだ書き足らない事も多いかと思いますがとりあえず尾行調査における尾行、張り込みについてご説明致しました。
結論から申し上げますと尾行、張り込みについては素人ではまずできない事が多いという事です。
しかも最近は配偶者であれ、尾行、張り込みをすることはストーカー規制法の「つきまとい」「待ち伏せ」などの違法行為に抵触することがあります。
やはり尾行、張り込みなどの尾行調査は専門的技術を学んだプロの探偵に一任するしかないのです。
公安委員会に届出をしている正式の探偵であれば業務として実施する尾行、張り込みなどの尾行調査について正当性が認められており、全く違法性はありません。
ただ探偵でも個人的に尾行、張り込みをすればストーカー規制法に抵触してしまいます。
また探偵の業務であっても勝手に他人の敷地などに入れば不法侵入として逮捕、起訴される事も十分にあります。