





米国のトランプ新政権が発足して1カ月たったが、内政にしろ、外交にしろ、その政策過程はいまだ不透明感が拭えない。特に外交政策は大統領自身の発言が二転三転しているだけでなく、閣僚の意見もバラバラ。外交チームの意見統一がどれだけ行われているのかも明瞭とは言い難い。
就任前は核戦力拡大訴え
政策決定が不透明である最大の理由は、何と言ってもトランプ大統領の言葉が軽過ぎる点に尽きる。前言がいつの間にか撤回され、また、元に戻っているようなことがしばしばある。その理由が明らかでないのが何とも不可解だ。
代表的なのが核戦力強化をめぐる発言である。トランプ氏は就任前の12月22日でのツイッターで「世界が核兵器に関する分別を取り戻すまでは、米国は核能力を大幅に強化、拡大しなければならない」と突然、宣言した。
ロシアのプーチン大統領が同日、米国のミサイル防衛(MD)を念頭にして、「戦略的な核戦力の能力を強化する必要がある」と発言したことに対する反発と捉えられたが、トランプ氏の宣言が本当なら、レーガン政権後期からこれまで約30年続いている核軍縮の流れを180度転換する、極めて大きな政策変更となる。
(続)

北朝鮮の闇に関する報道が続いている。2月13日にマレーシアで北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男氏が暗殺されたからだ。
しかし、正男氏暗殺は一つの「事件」であって、北朝鮮をめぐる情勢には直接の影響はほとんどない。正男氏は北朝鮮国内外の政治状況では既に「終わった人物」であり、彼の生死は同国をめぐる情勢にほとんど関係ない。正男氏が暗殺されても、北朝鮮に関わる諸外国の対北朝鮮政策には何の変化もない。
例えば、中国が2月18日に北朝鮮からの石炭の輸入を今年いっぱい停止すると発表したことに対し、「正男氏を暗殺されて中国が怒った」とみるのは的外れだ。中国は他の事を恐れてこうした措置に出た。恐れていることとは、北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験を行い、それに米国が反応することである。
そこで注目されるのは、2月12日、北朝鮮が北西部の平安北道・亀城から日本海に向けて新型の中長距離弾道ミサイル「北極星2型」を発射したことだ。これは全く新しいタイプのミサイルであり、北朝鮮が急ピッチでミサイル開発を進めていることを証明した。これは非常に懸念される動きである。
(続)

2017年の国際情勢に多大な影響を与えるとみられる欧州各国の選挙。それを締めくくるのが、9月24日に行われる独連邦議会(下院)選挙だ。難民危機対応をめぐる批判からメルケル首相の支持率は首相就任以降の最低水準にまで急落。その一方、16年に行われた州議会選では難民の流入制限や単一通貨ユーロの廃止を主張する右派ポピュリズム政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が躍進したことを受け、メルケル首相の再選を危ぶむ声も聞かれた。
だが、首相はその後に難民受け入れの厳格化に方針を転換し、支持回復と党内の不協和音の封じ込めに成功。秋の議会選で初の議席獲得が確実視されるAfDも、最近の世論調査では10%強の支持を獲得する程度で、政権運営への影響力は限られる。
そうであれば、選挙後もキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と社会民主党(SPD)の二大政党が大連立を組み、メルケル首相が4選され続投する─ほんの1カ月前までは、こうしたシナリオが有力視されていた。
(続)

トランプ米大統領は就任早々、難民やイスラム圏7カ国の出身者の一時入国禁止命令や、弾道ミサイル発射実験を受けた対イラン追加制裁の決定といった、中東激動のトランプ新時代という予測を具現化させるような政策を矢継ぎ早に打ち出している。オバマ政権時代の核合意の見直し表明により一転して対立路線に入りつつあるイランを筆頭にした「負け組」に対し、対テロで関係が深まるイスラエルやエジプトはトランプ外交における「勝ち組」に位置付けられる。「アメリカ・ファースト(米国第一主義)」のトランプ路線は、イスラム教スンニ派とシーア派の対立に象徴される中東の分断を一段と加速させそうだ。
入国禁止命令の愚
そもそも、今回の一時入国禁止命令は米の有権者向けのアピールという側面が強い。大統領選挙期間中に訴えたイスラム教徒の入国禁止という主張をある意味で部分的に具体化させたものだ。ブリンケン前米国務副長官がCNNテレビに語ったところによると、1975~2015年に起きたテロ事件で「7カ国の出身者は一人の米国人も殺害していない」という事実がある。テロを防ぐには、さらに対象国を広げなければ筋が通らない。
(続)

ホワイトハウスのフィリピン系女性料理長クリスティータ・カマフォードさん(54)を、トランプ大統領はどう処遇するのだろうか。米国の多文化主義、開放性を象徴してきた存在だっただけに気に掛かる。
ブッシュ元大統領が抜てき
ドナルド・トランプ氏が大統領に就任してから、2月半ばまでにホワイトハウスで会食した外国首脳は、メイ英首相(1月27日)、アブドラ・ヨルダン国王(2月2日)、安倍晋三首相(同10日)、トルドー・カナダ首相(同13日)、それにネタニヤフ・イスラエル首相(同15日)の5人。
いずれもワーキングランチ、もしくは私的昼食会だがかなりの頻度で、ホワイトハウスの厨房は大忙しだろう。これを指揮しているのがカマフォードさんで、彼女の下で約15人の料理人が働いている。
ファーストレディーのメラニア夫人は、息子の学校の関係で普段はニューヨークにいる。ファーストレディーの代わりを果たすとみられている長女イバンカさんも、恐らくまだ厨房まで気を配る余裕はないだろうから、ホワイトハウスの儀典担当者とカマフォードさんが相談してメニューを決めていると思われる。その内容は公表されていない。
(続)
