Japan 公式ブログ
Google の企業向けソリューションに関する公式な情報やユーザーの事例などを、いち早く皆さんにお届けします。
日本生命保険相互会社の導入事例:本部主導の出店戦略を、営業拠点自らが考えられるように進化
2017年7月3日月曜日
日本最大級の生命保険会社である日本生命保険相互会社(以下、日本生命)は、2017 年 5 月、
Google Maps APIs
および
Google App Engine
を活用した出店戦略システムを国内 99 支社、1,500 以上の営業拠点から利用できる環境を整えました。従来、本社主導で判断していた出店戦略を、現地の支社営業拠点が主体的に考えられるように進化。今後、より有効な出店戦略に繋げていく構えです。
日本生命保険相互会社
業務部 副主任 柏木綾人さん(写真左)
個人保険システム部 課長補佐 齊藤悠介さん(写真右)
■ 利用しているサービス
Google Maps APIs
Google App Engine
■
日本生命保険相互会社
1889 年創業の生命保険会社。保有契約高および保険料収入で日本最大規模を誇る。連結で 70 兆円以上の総資産を有する国内最大規模の民間機関投資家でもある。不動産賃貸業(貸しビル事業)においても所有床面積で国内 3 位の規模。2017 年 5 月現在、支社など 108 か所、営業部 1,537 か所、海外事務所 4 か所、従業員数 70,519 名。
集客や採用において極めて重要な営業拠点の立地
日本生命の営業拠点には、来客スペースのあるタイプと、営業職員のオフィスだけのタイプがあります。営業拠点の立地は、集客のしやすさや営業職員の採用において重要な要素です。
「お客様にお越しいただく拠点は、駅前などの人が集まりやすい場所が良く、一方、営業職員の採用においては、住宅地から車や自転車で通いやすいロードサイドが良いといったように要件が異なります。適切な営業拠点を設けることは当社にとって最重要課題ですので、たとえば、該当エリアに競合他社の拠点がある場合、集客や職員採用の両面で優位になるための拠点を構える必要があります。」と当該業務を司る業務部副主任の柏木綾人さんは言います。従来、こうした新規出店や拠点の移転は、 年に 数回、現地の要請に基づき本社が現地情報を収集し、判断していました。その判断材料には、人口動態や世帯収入などの統計情報をはじめ、顧客情報や営業職員状況、実績などの社内情報があります。
「それらに加えて、実際に我々が現地に赴いて周辺状況を確認することもあります」と柏木さん。しかし、日本全国に 1,500 以上の営業拠点があり、地域特性も異なります。さらに、新規出店や移転に伴い、近隣の営業拠点と顧客をどのように分担すればより効率的かといったテリトリー戦略も必要です。これらの複雑な要素を踏まえ、本社が的確に判断することには限界があり、手間やスピードにおいても問題がありました。
「以前より、営業拠点からエリア内の競合情報などの照会が本社に寄せられていました。そこで、システム化を検討することになり、社内システムの開発や運用を担う個人保険システム部に話を持ち掛けてみたのです」(柏木さん)
2016 年の 1 月頃、業務部から相談を受けた個人保険システム部はさっそく検討を開始。
「出店場所やテリトリーを決めることが目的なので地図情報システムは欠かせません。そこで、地図といえば Google Maps だろうとすぐに方向性は固まりました」と個人保険システム部課長補佐の齊藤悠介さんは言います。また、新システムは全国の支社に導入することを目指していたので、ユーザーの使いやすさも重視しました。その結果、自ずと Google Maps の採用に至ったわけです。そこで、システムの開発を進めるため、齊藤さんらは同年 4 月頃に株式会社トップゲートに相談をもちかけました。
要望が随時カタチとして確認できる”アジャイル開発”に驚き
「トップゲートさんの開発プロセスは、我々にとって驚きの連続でした」と齊藤さんは当時を振り返ります。それまで、個人保険システム部が開発を手掛けてきたシステムは、用途や目的が明確で機能要件も明らかな、ぶれのないものが多く、これを”ウォーターフォール型”のスタイルで開発していましたが、トップゲートは今回のシステム開発を”アジャイル型”で臨んだからです。
「最初にきっちりと要件定義を行い、まとめ上げたドキュメントにしたがって開発するというスタイルをずっと貫いてきたわけですが、今回の出店戦略システムは、そもそも仕様や要件がはっきり決まっていたわけではありませんでした」(齊藤さん)
「やりたいことのイメージは明確にありましたが、個人保険システム部含め
Google Maps APIs
の全機能を把握しておらず、すぐに要件を明確に決め切ることはできなかったのです。かつ、従来のシステムと違い、戦略を練るためのツールをどうつくればいいか、手探りの面もありました」(柏木さん)
トップゲートは大まかな要件を確認すると、Google App Engine と Google Maps APIs を活用し、人口動態や世帯収入などの統計情報や社内情報など大量のデータを地図上に重ねて表示することのできるシステムを提案しました。
「プロトタイプを見て、非常に驚きました。それまではほぼウォーターフォール型の開発しか経験がなかったので、こういうやり方もあるのか、との思いです。我々の要望が徐々に具体的な形となって見ることができるので、非常にわかりやすく、ぼやけていた要件が明確になっていきました」と柏木さんは言います。
「出来上がったプロトタイプを見て、新たな要望を盛り込んでもらうといったやり取りを何度か重ねました。トップゲートさんには申し訳なかったのですが、我々がアジャイル型の開発方式を勉強することにお付き合いいただいた形ですね」と齊藤さんは補足します。
Google Maps と GCP が高度な戦略立案業務を支える
5 か月後の同年 9 月には出店戦略システムの最初のバージョンが完成。まずは業務部で試験的に利用し、支社へ展開する際のマニュアルの作成など、準備を進めてきました。地図上にさまざまなデータを重ね合わせて表示するだけでなく、近隣拠点の抽出や、拠点間の移動距離や時間の計算、ストリートビューによって拠点候補の周辺状況を確認することも可能です。その他にもさまざまな機能が盛り込まれ、各拠点がそれぞれの状況やニーズに応じて自由に使いこなせるようになっています。
「上司も、このシステムをさっそく使い始めて『これは面白い。画期的だ』と夢中になっています(笑)。開発メンバーも同様に感じたのですが、たとえば地図の上に地域の人口動態などの統計データを重ね合わせてみると、『こっちに出店したほうがいいのではないか』といった発見があるのです。以前は、支社から要請を受け、バラバラにある情報を突き合わせて確認するという流れでしたが、このシステムでは画面上であらゆるデータを統合的に俯瞰し、本社サイドから営業拠点に提案するといったこともできるようになりました」と柏木さんはシステムの導入効果を語ります。このシステム導入を機に、業務部や営業拠点がより戦略的に店舗立地や営業方針などのエリア運営策を考えられるようになったといいます。
「従来は 1 人で考えていた課題を、2 人以上で考えられるようになったということです。また、一拠点の事例をナレッジとして全拠点で共有できるようになったことも大きいですね」(柏木さん)
2017 年 5 月、99 の全支社への展開も始まりました。支社ごとにいる若手の IT リーダーが中心となってシステムの活用促進を図る体制も整っています。日本生命の出店戦略やエリア戦略が今後どのように進化していくか、注目を集めることでしょう。
日本生命保険相互会社の導入事例 PDF は
こちら
をご覧ください。
その他の導入事例は
こちら
をご覧ください。
Google Maps APIs を使って IoT デバイスで位置情報を特定する
2017年6月30日金曜日
この記事は Google Maps API のソリューション アーキテクト、Ken Nevarez
による Google Geo Developers Blog の記事 "
Google Maps and Particle partner to bring location-aware capabilities to IoT devices
" を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。
昨年、「
IoT を容易にする Particle と GCP
」でも紹介した IoT プラットフォームの Particle と Google Maps APIs を組み合わせることによって、GPS を使わずに IoT 端末で位置情報を容易に検出できるようになりました。たった 1 行のコードを書き加えるだけで、ネットワーク上に分散する端末やセンサー(IoT エッジデバイス)から
Google Maps Geolocation API
を使用して Wi-Fi や携帯電話の基地局に関する Google の地理空間データベースにアクセスできるようになります。
IoT 端末やセンサーの位置情報を把握するために、高価で消費電力の大きな GPS モジュールはもはや必要ありません。既存の GPS システムと Google Maps APIs を一緒に活用することで、精度の高い位置情報を得ることが可能となり、屋内など GPS が働かない場合でも位置情報を把握することができます。
現在 Particle と Google では、収集したデータを Google Cloud Platform に送信する一連の流れをサポートしています。IoT センサーは自身の位置情報を検知すると、関連データを収集して返します。
Google Cloud Platform
にこうしたデータを蓄え、堅牢なクラウド上で利用することができます。
従来のアセット トラッキングは GPS などをベースに構築されていますが、GPS は過密な都市エリアや室内では利用できないことがしばしばあります。これは、GPS 信号が高層ビルや屋根によって遮断されてしまうためです。一方 Geolocation API は、携帯電話の基地局や Wi-Fi の信号をベースにするので、GPS が無効な場合でも位置の検出が可能です。そのため、屋内外を問わず、あらゆる場所のアセットのトラッキングが可能です。
IoT が主導する世界では、位置以外の情報も捉えることができます。こうした追加情報は、利用目的によって大変重要なものもあります。たとえば、冷凍品のサプライチェーンでは、「温度」に関する情報は工場、発送センター、輸送トラックにとって重要なデータの一つです。こうした情報によって、サプライチェーンの全体像を把握して、高品質の商品を配送することが可能になります。
Particle プラットフォーム上に構築されたWi-Fi 対応製品は、位置情報に基づいてその設定を自動化する機能も提供します。Geolocation API を使用することで位置情報に応じて、タイムゾーンの設定や、利用可能な周波数帯域の調整、地域ごとのサービス プロバイダへの接続などを自動的に行います。これにより、製品の設定作業はシームレスになり、操作性も向上し、有用な分析も可能になります。
たとえば、窓のブラインドの場合、位置情報をもとに日照時間のデータを参照して、その開閉を制御することで室内の温度を調整することができます。また、位置情報を送信する機能がついたコーヒー メーカーの場合、その位置情報から市場浸透率やターゲット層の詳細などマーケット分析に必要な情報を得ることもできます。
Particle 端末で位置情報を有効にする方法は、こちらの
ドキュメント
を参照ください。必要な基本ステップは次の 4 つです。
位置情報に対して有効な Google Maps API キーを取得する
Particle 端末に Google マップのファームウェアを書き込む
Particle Console で Google Maps Integration を有効にする
テストする
Google と Particle の詳細は、デベロッパー
ドキュメント
をご覧ください。
Google Cloud Next '17 in Tokyo 開催!
2017年6月16日金曜日
Google では、6 月 14 日~ 15 日にかけて、アジア太平洋地域最大のクラウドイベント「
Google Cloud Next '17 in Tokyo
」を開催しました。2 日に渡った同イベントには、1 万 3000人を超えるビジネスリーダーや開発者、パートナー企業各社が参加しました。本ブログでは、基調講演や 80 を超える技術セッションの中から、Google Cloud Next'17 in Tokyo のハイライトをお届けします。
一日目の基調講演では、Google Cloud 統括 バイスプレジデントのダイアン グリーンが登壇し、Google のクラウドビジネスの現状やビジョンを語りました。日本におけるクラウドビジネスの順調な伸びを示す一例として、GCP リージョン運用開始後の Google Cloud Platform (GCP) 新規ユーザーによる Google Computing Engine (GCE) 利用が 約 4 割に上ることを紹介。特に直近 3 ヶ月においては、新規ユーザーによる GCE 利用が毎月平均 21% 増加しており、多くのユーザーにご好評をいただいています。さらに、日本全体においては、Google Cloud サービスの顧客数(有料のみ)が、昨年比で 70% 増加しました。
Google Cloud シニア バイス プレジデント ダイアン グリーン
また、Next 開催にあわせ、東京 GCP リージョンが
Cloud Spanner
(本年 5 月 一般提供開始)の利用、及びデータ保存に対応しました。Cloud Spanner は、世界初の水平スケーリング可能なリレーショナルデータベースサービスです。顧客認証システムや事務処理、在庫管理システム、大容量メディアシステムといった低いレイテンシで大量の処理が必要なデータの取扱いを得意としています。また、Google Cloud 製品のセキュリティについて、
FISC 安全対策基準等への対応状況を
GCP
、
G Suite
それぞれのウェブサイトに追記しました。
「働き方改革」の推進
G Suite は、「柔軟な働き方を可能にするテクノロジー」、「機械学習の活用によるルーチンワークの効率化」、「場所にとらわれない次世代のチームコラボレーション」を通じ、企業の「働き方改革」推進を支援しています。
今回、「働き方改革」の新たなパートナーに、株式会社ファミリーマートをお迎えしました。株式会社ファミリーマートでは、日本発 世界で通用する次世代の小売モデルの構築実現のために、本パートナーシップを通じ、働き方改革、店舗業務改革や次世代店舗開発を行なう予定です。プロジェクト「ファミマ 10x」では、G Suite を活用した働き方改革の実施、さらなる業務効率化やイノベーティブな企業文化の醸成を図ります。店舗業務改革、次世代店舗開発においては、Google Cloud の分析基盤や機械学習ソリューション等の活用を検討中です。Google では、導入支援としてチェンジマネジメントアドバイザリーやトランスフォーメーションアドバイザリー等のプロフェッショナルサービスを提供いたします。
株式会社ファミリーマート 代表取締役社長 澤田 貴司氏
また、基調講演では G Suite の導入で 1 週間あたり平均 9 時間の業務時間短縮効果があった、とする PwC の調査結果を紹介。さらに、”場所にとらわれない” チームコラボレーションを可能にする次世代ホワイトボード「Jamboard」の日本展開について、2018 年中の提供開始を発表しました。
パートナーシップの拡充
今回、NTT コミュニケーションズ株式会社が、Google Cloud の新たなパートナーとして参画しました。本パートナーシップの締結により、NTTコミュニケーションズ の Enterprise Cloud と GCP の接続や、機械学習やビッグデータ分析をはじめとした両社の強みを活かした新サービスの開発を行います。また、同社自身が G Suite と GCP を導入・活用しノウハウを蓄積する事で、日本のエンタープライズ顧客のニーズに応えるサービスの提供をはじめ、本パートナーシップの海外への展開を目指します。日本国内外において、多方面に実績のあるNTTコミュニケーションズ株式会社との未来志向の協業を通じ、より幅広い顧客のニーズにお応えできる環境を構築してまいります。
NTTコミュニケーションズ株式会社 取締役 クラウドサービス部長 森林 正彰氏
また、すでに G Suite 等のパートナーである KDDI 株式会社においては、今年 8 月より GCP にもパートナーシップを拡大します。これに加え、特にニーズの高い Google Cloud へのダイレクトな接続を可能とするために、ネットワークインフラの分野においても、さらなる協業を予定しています。今後の発表にご期待ください。
また、2011 年に G Suite の販売を開始したソフトバンク株式会社では、今後 Google Cloud のビジネスパートナーとしての活動をよりいっそう強化する一環として、GCPをベースとしたソリューション提供を開始します。今後は、自社のクラウドサービス「ホワイトクラウド」との連携や、ソフトバンク株式会社流の「働き方改革」に関連したサービスなどの展開を予定されています。
機械学習、ビッグデータ分析、IoT
二日目の基調講演では、GCP 製品の活用例として、キユーピー株式会社による機械学習の活用や、ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社によるビッグデータ分析の事例をご紹介いただきました。
キユーピー株式会社では、高い食品の安全・安心の確保のために、1 日あたり1工場で使用する 4~5 トンもの原料に対し、人力による全量検査を行っていました。今回、このプロセスの機械化による生産性向上を目指し、Cloud Machine Learning Engine とTensorFlow を活用し、機械学習で良品の特徴を学ばせることで、
品位不良品を検出する原料検査装置を開発
しました。今年 4 月上旬にはプロトタイプを用い、工場で実証実験を実施。今後、AI を活用した汎用的な検査機構の開発の推進、他原料やさらなる工場への導入に向け開発を継続されています。
ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社では、 Sony グループ企業各社に対しクラウドサービスやアプリケーションの開発運用、データを活用した事業を展開しています。 Hive/Hadoop の環境からPoC を経て、BigQuery を中心とした商用データ分析基盤 ( Private DMP ) を構築しました。これにより、データ運用の省力化に加え、分析官だけでなくSQL を少し書ける人でも効率的な分析ができるようになり、分析結果を商用サービス適用するまでの生産性を向上することができました。
セルラーおよび LoRaWAN ネットワークを用いた IoT デバイス向け接続サービスを提供する株式会社ソラコムは、同社のデータ転送サポートサービス「 SORACOM Beam 」で Cloud IoT Core のサポートを発表しました。また、クラウドアダプタサービス「SORACOM Funnel」を用いて、制約のあるデバイスからでも Cloud Pub/Sub にメッセージを送信することができるようになりました。これにより、例えば、電池駆動の極小センサーからも LoRaWAN を通じて、数ヶ月にわたり GCP にデータを送り続けることができます。
Google Cloud Next'17 in Tokyo にご参加いただいた皆さま、本当にありがとうございました。このイベントが参加された皆さまにとって、アイディアや情報交換の場となり、新たなインスピレーションが湧いてくる、そんな場であったならば、これ以上嬉しいことはありません。次の Google Cloud Next もご期待下さい。
株式会社サイバーエージェントの導入事例:動画広告クリエイティブソリューション『VS』に Google Cloud Vision API を導入。一部のタグ付けを自動化し効率的に新たなサービスの展開を実現
2017年6月15日木曜日
Google Cloud Next '17 in Tokyo ブレイクアウトセッションにご登壇の株式会社サイバーエージェント。
「AbemaTV」や「アメーバブログ」を展開し、国内インターネット広告業界でトップシェアを誇る同社において人工知能のアドテクノロジー活用を図る研究組織、「AI Lab」が分析開発に携わり「
Google Cloud Vision API
」を活用。
ブランディング広告をターゲットにした動画広告クリエイティブ分析ソリューション『VS(バーサス)』において、ブランドリフトに寄与する構成要素を「
Google Cloud Vision API
」の動画自動解析機能を利用し、カテゴリの物体をラベル検出しています。企業・サービスロゴの位置やサイズ、コピー要素、背景要素、キャスト要素など、約 100 種類のラベルにこれを集約。その組み合わせによって広告の効果を評価しているのです。
詳しくは、VS の開発ストーリーでご紹介いたします。
サイバーエージェント Google Cloud Vision API 導入事例
また、サイバーエージェント の
導入事例 PDF
も合わせてご覧ください。
GCP のその他の導入事例は
こちら
をご覧ください。
任天堂株式会社の導入事例:ビッグタイトル『Super Mario Run』のバックエンドを支えた Google App Engine
2017年6月14日水曜日
昨年末にリリースされ、任天堂初のスマートフォン向け本格ゲームアプリとして注目された『Super Mario Run(スーパーマリオ ラン)』。その背後では、文字通りケタ違いのアクセスをさばく強力なバックエンドが稼働していました。任天堂、DeNA そして Google が一丸となって取り組んだ、その開発ストーリーをお届けします。
■利用している Google Cloud Platform サービス
Google App Engine
Google BigQuery
Google Cloud Dataflow
Google Cloud Datastore
Google Cloud Pub/Sub
Google Cloud Storage
Google Stackdriver
(Logging, Monitoring, Trace, etc)
など
■
任天堂株式会社
1980 年代に『ファミリーコンピュータ』によって、世界中にビデオゲームブームを巻き起こし、その後も家庭用ゲーム機市場を牽引し続けている老舗エンタテインメント企業(1889 年創業)。マリオやドンキーコング、ゼルダの伝説、どうぶつの森など、強力な IP(知的財産)を多数保有していることでも知られている。
アプリの将来に備え、バックエンドをマネージドサービスに移管
2015 年 3 月 17 日に突如発表され、世界中のゲームファンに衝撃を与えた任天堂のスマートデバイス進出。そのゲームアプリ市場で絶大な実績とノウハウを持つ株式会社ディー・エヌ・エー(以下、DeNA)との協業(業務・資本提携)によって、マリオなど、任天堂の誇る世界的 IP をスマートデバイス向けにも展開していくことが大々的に発表されました。相互の強みを活かす形で、ゲーム開発や、それを安定動作させるバックエンドを共同で開発していくことになったのです。そして、そのきっかり 1 年後となる 2016 年 3 月 17 日には、任天堂初のスマートデバイスアプリとなる『Miitomo(ミートモ)』をリリース。続いて、12 月にはiOS版『Super Mario Run』(Android 版は 2017 年 3 月リリース)が、2017 年 2 月には『ファイアーエムブレム ヒーローズ』が配信開始されています。今後も 1 年に 2~3 本のスマホアプリを投入していく予定ということです。
投入する全てのタイトルがそれぞれビッグタイトルとなることが期待されている任天堂ゲームアプリにおいて、それを支えるバックエンドに求められる品質は並大抵ではありません。今回、DeNA 側のチームを率いて、このプロジェクトに参画した株式会社ディー・エヌ・エー オープンプラットフォーム事業本部 システム開発部 菅原賢太さんは、次のように当時を振り返ります。
「2016 年春に『Miitomo』をリリースした際は、オンプレミスに近い形でバックエンドを構築していたのですが、それだとどうしても運用にリソースを奪われてしまい、効率的な開発を妨げている面がありました。今はまだ良くても、このままタイトル数が増えていったら大変なことになるぞという懸念があったんですね。また、当時、任天堂さんから提示された『Super Mario Run』の想定トラフィックが、これまで多くのスマホアプリを手がけてきた我々の目から見てもあまりにもケタ違いで……。そこで、
Google App Engine(GAE)
のようなマネージドサービスを利用して、いくつかの業務を Google さんにシフトするということを提案することにしました。」
GAE のオートスケールは、トラフィック量に合わせて自動でインスタンスの追加、削除を行います。しかも、ミリ秒単位でその数を最適化することが可能です。世界同時リリースという大量のアクセス数が予想された今回のケースでは、システムがダウンすることは絶対に避けなければなりません。高可用性が求められるサービスの実現に GAE が選択された理由の一つがここにあるのです。
しかし、GAE を採用するということはバックエンドを 1 から作り直すと言うことにほかなりません。しかも菅原さんが任天堂にこの提案を行ったのは 2016 年 7 月末。『Super Mario Run』配信予定日まで、もう、半年を切っていました。任天堂側はこれについてどのように対応したのでしょうか?今回のプロジェクトのもう一方を担う、任天堂側のチームを率いてきた、任天堂株式会社ビジネス開発本部 スマートデバイス事業部の府川幸太郎さん、竹本賢一さんにも聞いてみました。
「確かに大規模な改修ではあるのですが、『Miitomo』で菅原さん率いる DeNA チームの実績を目の当たりにしていたので、今から始めても充分にやりきれるのではないかという確信がありました。いや、むしろ、今、このタイミングでそれをやらなければ将来的にまずいことになるだろう、と。また、個人的にもマネージドサービスを活用して社内の運用コストを軽減することに興味がありましたので、ぜひやりたいと思いました。」(竹本さん)
「……と、竹本は言いますが、私自身はそれよりもやや慎重でしたね(笑)。将来に向けた不安要素があるとは言え、既に安定稼働しているシステムがあり、その次に来るタイトルがマリオというビッグタイトルで失敗が許されないわけですから。そんな中、これまで使ったことのない GAE に移行するというのはかなりのチャレンジ。ただ、最終的には、私がテクニカルな面で信頼を置いているこの 2 人が問題ないと言うのだから移行しようと決断しました。」(府川さん)
任天堂株式会社
ビジネス開発本部 スマートデバイス事業部 事業システム開発グループ
グループマネージャー 府川幸太郎さん
“クレイジーな目標”に 3 社協力のもと邁進
こうして動き始めたバックエンドの GAE 移行。これに際し、竹本さんと、菅原さんはまず Google に技術的協力を要請します。もちろん、Google にとってもそれは望むところ。ちょうどその数か月前(2016 年 7 月)にNiantic, Inc. からリリースされた『Pokémon GO』での経験を踏まえ、大規模プロジェクトにおける安定性向上を顧客と二人三脚でやっていくべきだという認識が生まれていたのです。
「時間がない中、Google さんのフットワークの軽さ、積極性には本当に驚かされました。相談した先から、その場で一緒に課題を解決してくれる方をご紹介いただくなど、迅速に対応していただきました。」(竹本さん)
任天堂株式会社
ビジネス開発本部 スマートデバイス事業部 事業システム開発グループ
グループチーフ 竹本賢一さん
「9 月末ごろに一通りの実装が終わり、そこから、10%、20%と品質を高めていくため、さまざまな助言をいただきました。毎日のようにハングアウトでやり取りしたほか、実際にアメリカからお越しいただき、同じ部屋に籠もってみっちりトラブルシュートできたのはありがたかったですね。もちろん、こちらからもそれぞれのサービスをどのくらいの規模感で使うことになるのかなどを、エスティメーションシートにまとめて共有するようにしています。そうしたかたちで、非常に効率的に開発が進んでいった結果、10 月下旬くらいには満足できるレベルのものが仕上っています。」(菅原さん)
もちろん、そこからの負荷試験においても、Google は徹底的にこれにコミット。アメリカ本社の SRE(Site Reliability Engineering=サイト信頼性エンジニアリング)担当者も来日し、『Super Mario Run』の配信に耐えうる堅牢なバックエンドを構築。最終的には
Datastore
へのトラフィックテストにおいて、秒間 300 万アクセスのテストを完了。想定される数字の数倍ものアクセスにも耐えるシステムが完成しました。
「ただ、そんな Google さんから見ても、『Super Mario Run』を 150 か国・地域で同時スタートしようというのは衝撃的だったようで、最初のミーティング時に『あなたたちはクレイジーだ!』と言われてしまいました(笑)。でも、そこで、だからやるべきではない、ではなく、どうすればやれるのかを一緒に模索してくれたのはうれしかったですね。最初から最後まで建設的なやり取りができました。」(竹本さん)
システム構成図(GCPのさまざまなサービスを利用)
『Super Mario Run』配信当日、そこに“ドラマ”はなかった
そして迎えた、『Super Mario Run』配信日。その後の発表で明らかにされたように、わずか 4 日で 4,000 万ダウンロード( 1 億 5,000 万ダウンロードに到達する見通し。2017 年 4 月末時点)を達成しました。もちろんこの日は任天堂も DeNA も泊まり込みで待機していたそうです。近年、大規模タイトルでは少なからず接続障害が発生していますが、『Super Mario Run』はどうだったのでしょうか?
「ところが、これが本当に何事もなかったんです。あまりに何もなさ過ぎて不安になってしまうほど。当日にこんなトラブルがあって、それをこんなふうに切り抜けたんです、とか言えれば良かったんですが、そこに“ドラマ”は起きませんでした(笑)。」(菅原さん)
その後の『ファイアーエムブレム ヒーローズ』や Android 版『Super Mario Run』のリリース時にも、このバックエンドは安定動作。現在も特に大きな問題は起こっていないと言います。
「もちろん、小さなトラブルはいくつかありましたが、お客さまが長時間ゲームをプレイできなくなったというようなトラブルは発生していません。現在、抱えている課題は急激なアクセス増があった時に若干、遅延が発生するというくらいですね。今はその対策として GAE のオートスケールにちょっと手を加えて、アクセスが急増するゲーム内イベントの直前などに手動でインスタンスを上げられる仕組みなどを組み込んでいるのですが、これが完全自動化されるのが理想。今どきは機械学習などもありますし、Google さん ならきっとできるはず(笑)。もちろん、そのために必要となるデータはフィードバックさせていただいています。」(菅原さん)
株式会社ディー・エヌ・エー
オープンプラットフォーム事業本部 システム開発部 アライアンスシステムグループ
グループマネージャー 菅原賢太さん
今回開発したシステムでは、ゲームに関係する各種ログデータも膨大に記録されています。こうしたデータの分析には
BigQuery
を活用。大量データを瞬時に分析することが可能となり、今後のアプリ開発に有益な情報を蓄積しています。
「今後もタイトルをリリースしていく予定ですが、任天堂、DeNA さんそして、Google さんの、このメンバーでやっているうちは、大きな壁を感じることはないのではないかと期待しています。報道などでは意外と言われることもあった、任天堂と DeNA さんの組みあわせですが、実際にやってみると、任天堂が長年培ってきたグローバルサービスのノウハウと、DeNA さんが持っているモバイルのノウハウが相互に補うようにがっちりハマりました。今、考え得る最高のチームが作れたのではないかと思っています。」(府川さん)
任天堂株式会社の導入事例 PDF は
こちら
をご覧ください。
GCP のその他の導入事例は
こちら
をご覧ください。
Google Cloud チーム より日本のお客様へ : FISC 安全対策基準 に関する G Suite、Google Cloud Platform のセキュリティ情報をアップデート
2017年6月14日水曜日
Posted by 菅野 信 (Google Cloud Customer Engineering 日本担当マネージャー), 寳野 雄太(Google Cloud Customer Engineer)
本日、
Google Cloud Next '17 in Tokyo
において、日本のお客様のクラウド利用への取り組みのさらなるサポート施策として、
Google Cloud Platform
,
G Suite
のセキュリティ(
GCP
、
G Suite
)をアップデートし、FISC 安全対策基準等に関する情報を追記しました。
Google は、何年にもわたり先進のインフラストラクチャの構築を進め、世界中のエンタープライズのお客様にクラウドサービスの提供を行ってまいりましたが、私たちはクラウドでのデータ保護に関する透明性を、更に高めたいと考えています。また、透明性の向上に加え、日本のお客様が法令やコンプライアンス基準に準拠した企業活動を行えるよう、今後とも積極的な支援を行ってまいります。今回のアップデートにより、 Google Cloud のご利用を検討されているお客様のコンプライアンス対応の手間を削減し、更にはクラウド・サービスのご利用をすすめるお客様のビジネスの変革をお手伝いできることを期待しています。
関連ドキュメント:
G Suite のセキュリティに関する FAQ
G Suite のセキュリティとコンプライアンスに関するホワイトペーパー
G Suite のセキュリティに関するホワイトペーパー
(英語)
Google のデータセンター
Google Cloud Platform のセキュリティ
Google インフラストラクチャのセキュリティ設計の概要
Google のセキュリティに関するホワイトペーパー
Google Cloud Platform での保存時の暗号化
【Google Cloud Next '17 in Tokyo】ライブストリーミングのご案内
2017年6月14日水曜日
いよいよ本日より、最新のクラウドテクノロジーをご紹介する Google の基幹イベント、
Google Cloud Next '17 in Tokyo
を開催します。会場においでになれない方は、お手持ちのパソコンからライブストリーミングをご視聴ください。
ライブストリーミングの視聴は
こちら
※ライブストリーミングでご覧いただけるのは、両日午前に予定されている、基調講演のみとなります
※音声は、右上のプルダウンから日本語および英語のいずれかを選択いただけます
「Google Cloud Next '17 in Tokyo 」詳細につきましては、
イベントホームページ
ならびにこれまでのブログ投稿(以下)をご覧ください。
第一回(イベント概要)
/
第二回(セッション情報)
/
第三回(おすすめセッション)
/
第四回(体験エリア)
/
第五回(Google 主催 ハンズオン)
/
第六回(ナイトイベント)
公式ハッシュタグ #googlenext17
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イベント名: Google Cloud Next '17 in Tokyo
日 程: 2017 年 6 月 14 日(水)・15 日(木)
開 場: 8:30
基調講演: 9:30 〜 11:30
セッション: 12:00 〜 18:00
会 場:
ザ・プリンス パークタワー東京
〒105-8563 東京都港区芝公園 4 - 8 - 1
お問い合わせ先
Google Cloud Next Tokyo '17 運営事務局
nexttokyo17@google.com
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