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本リサーチ分析レポートのテーマに関心をお持ちの方は、2015年10月28(水)〜30日(金)に開催する 「Gartner Symposium/ITxpo 2015」のページを是非ご覧ください。(イベント終了後も開催実績としてご覧いただけます) デジタル・ビジネスは、現実のものになっている。ガートナーが実施したデジタル・ビジネスに関する基礎調査によると、企業は今すぐデジタル・ビジネスへの転身に向けて行動を開始する必要がある。CIOから見ると、これはリーダーシップ、資金調達、テクノロジ、人材に影響を及ぼすものであり、本リサーチノートではこれらの点を解説する。 要約 主要な所見
推奨事項 CIOは、以下の作業を実施する。
目次
図目次
戦略的プランニングの仮説事項 2020年までに、企業の75%はデジタル・ビジネスに転身するか、またはそのための準備を整える。 分析 デジタル・ビジネスは、既に現実のものになっており、拡大中でもある。この2つの見解は、ガートナーが2014年にビジネス部門とIT部門の幹部を対象に実施したデジタル・ビジネスに関する調査の結論として得られたものである。ガートナーは、テクノロジ面のブレークスルーによって大きな変化が進んでいる時代において、ビジネス・リーダー、CIO、ITリーダーが状況を最もよく理解できるよう支援するために、また実行可能なアドバイスを提示するために、いくつかの質問を用意し、回答を依頼した。質問は、以下のものであった。
ガートナーが2014年に実施したデジタル・ビジネスに関する基礎調査に回答した企業の22%の経営幹部
は、「何らかの形態でデジタル・ビジネスを遂行中である」と述べている。これらの経営幹部の半数は、
自社が「2016年末までにデジタル・ビジネスに転身できる見込みである」と回答している。これらは、
ガートナーがビジネス・リーダーとITリーダーを対象に実施した第1回のデジタル・ビジネス調査にお
ける重要なメッセージである。この結果は、デジタル・ビジネスの急速な台頭とデジタル・ビジネス
への移行に関するシナリオを示している。また、妥当性の喪失や破産を回避するために、企業がデジ
タル・ビジネスへの移行を宣言するという図式を描いている。 デジタル・ビジネスに関して自社は現在どのような位置付けにあるか デジタル・ビジネスの発展パスは、アナログ・ビジネス、Webベース・ビジネス、E-Business、デジタル・マーケティング・ビジネスからデジタル・ビジネスへ移行するプロセスを表現したものである(図1参照)。回答のうち最も多かった(41%)のは、デジタル・マーケティングである。当面は、「デジタル」という単語や「デジタル・ビジネス」という用語を目にしたビジネス・リーダーの多くが、それをデジタル・マーケティングの同義語と見なすと考えておくとよい。 図1. デジタル・ビジネスに向けた活動
出典:ガートナー (2015年3月) 要約すると、本調査結果では、回答企業の1%が自社をアナログ・ビジネス、24%がWebベース・ビジネス、12%がE-Business、41%がデジタル・マーケティング、22%がデジタル・ビジネスと位置付けている (図2参照)。 図2. 企業の現状
出典:ガートナー (2015年3月) 現在、インターネットは価値ネットワークの指標となっているため、企業はインターネットをどのように業務に利用しているかによって自社を位置付けることができる。また、多くの企業は、現時点で拡大と発展を続けているIoTを自社の価値ネットワークにつなぐことがどの程度有益かを確認できる。しかし、Facebook、Amazon、Snapchat、LinkedInといったインターネット専業企業の台頭を踏まえると、これは目新しいことではない。目新しいのは、人、ビジネス、モノが織りなすデジタルの世界にある新たな様式や振る舞いである。 デジタル・ビジネスにどのような影響、機会、課題、価値を期待しているか
「デジタル・ビジネス」と銘打たれたイニシアティブへの期待事項は、同様にビジネスに関する期待事項を指す。ガートナーは、問題だけでなく機会も理解すべく努めた。 図3. デジタル・ビジネスの影響
出典:ガートナー (2015年3月) この結果は、回答者が所属する企業のビジネス・ストーリーを物語っている。具体的に言えば、デジタル・ビジネスに対する注力が、企業の健全性を評価する複数の評価指標において、極めて重要な要素になるというストーリーである。また、評価指標への好ましい影響を期待する企業の場合、デジタル・ビジネスを立ち上げて転身する緊急性が高いことを強調している。
社内でデジタル・ビジネスを担当している (今後担当する) のは誰か デジタル・ビジネスを担当している (今後担当する) のは誰か。これは、調査で実際に提示した質問文 を引用すると、「現在、社内でデジタル・ビジネスの指揮を担当している役職を重要性の高い順に3つ 選択せよ」である。この質問に対する回答は、今回の調査では比較的明瞭であった (図4参照)。 図4. デジタル・ビジネスを担当している役職
出典:ガートナー (2015年3月) この結果が興味深いのは、最高デジタル責任者(CDO)が第10位、デジタル・ビジネス担当バイスプレジデントが第11位、最高データ責任者が第12位となっている点である。これらの役職に関する調査結果を取得したのは今回が最初であるため、ガートナーが期待する役職、つまりCDOが増える兆候はまだ確認できない。ただし、多くの企業が「CIOとCTOが最上位に位置している」と回答したことは明らかである。CDOの地位をめぐり、社内の他の役職が争っている。 デジタル・ビジネスをどのように構築するか。必要になるコンピテンシと設計仕様はどのようなものであり、必要になるテクノロジ投資はどの程度か まず、本調査の対象となったデジタル・ビジネス・リーダーの期待事項に注目する。図5を見ると、回 答企業は、好業績を達成するためのビジネス・タスクを期待していることが分かる。 図5. デジタル・ビジネスで期待されている成果
出典:ガートナー (2015年3月) 最初の2つ (「デジタル・ビジネス環境におけるビジネス戦略の開発」と「ビジネス・プロセスのイノ
ベーション」)は、デジタル・ビジネスで必要になる変革の範囲とスピードを明らかにするものであるため、重要であり、3つ目の回答「テクノロジによって競争上の優位を強化する方法の理解」に重要な要素として組み込まれている。ここでは、戦略開発、組織変革、変更管理におけるコンピテンシのほか、リソースをめぐって現行業務を遂行しているビジネス部門とイノベーションが競合する、バイモーダルな (2つの流儀の) 組織を管理する能力が必要になる。 図6. デジタル・ビジネス設計の特徴
出典:ガートナー (2015年3月) 「現在デジタル・マーケティングを実施中」と回答した企業の割合 (44%)を踏まえると、デジタル・ビジネスの設計時にデジタル・マーケティング能力が重要であることは驚くに値しない。Target、ソニー、Anthemといった有名企業で発生した大規模な個人情報の不正流出を受けて、セキュリティとリスクが注目を浴びている。こうした企業の事例は、安全な企業はもはや存在しないことを表している。当面は、設計時におけるセキュリティとリスク対策の優先順位が高い状態が続く。また、デジタル・ビジネスで実現する製品/サービスのイノベーションは、設計時の重要な要因として僅差の第3位となっている。ガートナーは、人、ビジネス、モノの実態と影響が最優先事項になるに従い、こうした設計基準が今後変化すると予測している。 推奨リサーチ
用語 デジタル・マーケティング デジタル・ビジネス 根拠 ガートナーは、2014年3月から6月にかけて全世界の顧客(365社)を対象に実施した調査を根拠に、本リサーチノートを執筆している。この調査の目的は、企業と団体がデジタル・ビジネスの新たな機会をどの程度理解し、特定して利用しているかを評価することであった。デジタル・マーケティングの手法を利用中、または何らかの形態でデジタル・ビジネスを導入済み(または現在導入中)の企業を対象にした調査を、オンラインと電話を通じて実施した。 (監訳:鈴木 雅喜) INF: INF-15-97 (G00269535)
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